上司と上手につきあう方法【完結】

ふらつく部長とバスを降りて、設置してあるベンチに並んで座る。

そのベンチは大きな樹の下にあって、日陰もあり過ごしやすそうだった。


部長は大きく息を吸い込んで、両手を背後について顔をあげる。



「きっつ……」

「酔い止め飲んでるんですよね?」

「――ああ」



それでもこの酔いっぷり。

帰りは大丈夫なんだろうか。心配になってくる。



「あの、もしかして今まで部長が社員旅行参加しなかったのって、乗り物に酔うからですか?」

「――」

「部長?」

「――そうだ」



ものすごくイヤそうに、肯定された。

しかも、私から若干視線逸らしてるし。

きっと恥ずかしいんだ。プププ……。

怖い人だとしか思ってなかったけど、なんだか部長、面白いなぁ……。


思わず頬が緩む。


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