上司と上手につきあう方法【完結】
朝陽のことは本当に好きだった。
私の大事な、苦くとも、一番輝いていた青春時代の思い出だ。
「好きな人がいる」
とは言え、はっきり好きと言えないまま、先回りされてフラれてしまったのだけれど……。
若干恥ずかしくなりつつ、だけど、精一杯の微笑みを浮かべた。
「あー……そっかあ……」
くしゃくしゃと髪をかきまぜながら、朝陽がほんの少し悲しげな顔をする。
その顔は確かに残念そうだけど、こうなることがわかってた、というようなそんな気配も持ち合わせていて、私は長年抱いていたもやもやが、なんとなく、霧のように消えていくような感触を覚えていた。
「――でも、ありがとう」
「え?」
「ずっと避けまくってたけど、ちゃんと話せてよかった。朝陽が勇気を出してくれたからだよね。ありがとう」
「――美琴……」