上司と上手につきあう方法【完結】
伴ちゃんと紗江子がホッとしたように胸をなでおろし、塩田さんと一緒にいた部長にペコッと頭を下げる。
「ああ」
低い声に、チラッと彼の顔を盗み見てみれば、部長はなんだか戸惑っているように見える。
そりゃそうだよね。
なにがかなしゅーて、昨晩フッた女と何時間も二人きりで過ごさなきゃいけないんだ。
それに私だって、彼が迷惑そうにするのを間近で見るのもつらいし……。
いやでも席を離してもらえば大丈夫か……。
なんてあまり働かない頭でグルグルと考えていたら、
「――平尾」
部長が私の足元の荷物をひょいと持ち上げて、顔を覗き込んできた。
「ふぁいっ……」
「――重症だな」
ろれつが回らない私を見て、彼は一層深刻そうに眉根を寄せる。
「い、いえ、だいじょうぶ、です……」