上司と上手につきあう方法【完結】
「平尾、お前は?」
「あ、私も!」
私も残っていたグラスのビールを煽るように飲み干す。
「飲めるのか?」
「はい。正直ザルです。枠って言われたこともあります!」
「ふふっ、そうか……頼もしいな。今度の接待、お前連れて行くか。川島は弱いんだよなぁ……」
カウンターに肘をつき、モナリザのように組んだ手の甲の上に、頬を乗せて私を見つめる部長。
その眼差しに思わずドキッとしてしまった。
こういった店の薄明りは、女の子を綺麗に見せるっていうけれど、たぶん私より部長のほうが色っぽいっていうか――美人さんな気がする。
今さら気づいたけど、部長って天然物の美形なんだ。