上司と上手につきあう方法【完結】

生まれて初めて乗るスーパービュー踊り子号は、とても素敵な列車だった。


車体は白とエメラルドグリーンの二色で、大きな窓から差し込む光は車内を明るく照らし、窓の外の景色がよく見える仕様になっている。

ただ、旅行シーズンが外れていることと、東京への帰りの便ということで、車内はガラガラだった。


せっかくの綺麗な景色だけど、微熱状態では旅行気分を楽しめるはずもなく、座席についてすぐ、背もたれを倒して深呼吸を繰り返す。


部長は乗り込む前に買ったミネラルウォーターのペットボトルを一度開けて、それから私の前に置いてくれた。



「すみません……」

「気にするな。クスリを飲む前に、何か口にしたほうがいいぞ」

「はい」



うなずいて、部長が差し出すサンドイッチを一切れもらって、口に運んだ。


モグモグと咀嚼していると、妙に視線を感じる。



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