上司と上手につきあう方法【完結】

ああ、だめだ。


絶望に足がすくむ。


部長は彼女のことが好きで、好きで。大好きで。

仕事の鬼のくせに、フラれた後でも、別れたくないって、オフィスで思い出して泣いちゃうくらいで。

あまり飲めないお酒を飲んで、自暴自棄になるくらいで。


そんなに大好きだった彼女が、今、自分の部屋の前にいるって……

部長、どんなふうに思ってるの?


部長は、どうしたいの?



――――……



それから、どれだけ沈黙の時間が流れただろうか。


きっと十秒かそこらだと思うけれど、その沈黙は私にとって針のむしろに似ていて。

頭は真っ白、思考回路は完全に停止していた私に、ふっと、彼女の視線が移動した。


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