上司と上手につきあう方法【完結】
早くこの場から立ち去らなければ……!
「――すみません、私、帰ります」
理性を総動員して、そう口にする。
ワッと泣き出さなかった自分をほめてあげたいくらいだ。
そしてそのまま後ずさったその瞬間、
「――平尾」
なんと、部長が持っていた荷物を床に落とし、振り向きざま、私の腕をつかんだのだ。
「帰らなくていい」
「え……」
なんでそんなこと言うの。
ここで、彼女とヨリが戻るのを見てろって言うの……?
そんなの、ひどいよ。