上司と上手につきあう方法【完結】
もう、帰ろうか……。
正直ごはんどころじゃないだろうし。
帰ってくる保証はないし。
でも、鍵を開けたまま帰るのもなぁ……。
そうやって、しばらくの間、ひざこぞうにおでこをくっつけて、ボーっとしていると、ガチャリと音がして。
顔をあげると同時に、部長が玄関の内側に飛び込んできた。
一人!?
後ろに彼女がいて、私、帰れって言われたりしない!?
そんなことを考えて、とっさに声を掛けられなかった私。
彼の視線は、玄関で座り込んでいる私よりも向こうを眺めていて、なんだか誰かを探しているような……って。
もしかして、私!?
「あのっ……!」
心臓が口から飛び出しそうなくらい驚いて、そのまま立ち上がる。