上司と上手につきあう方法【完結】
なんだかもう、嬉しいとかホッとしたとか、だけど出て行けって言われちゃうんじゃないかとか、不安と喜びがごちゃごちゃになって、思わず彼に数歩歩み寄ろうとしたのだけれど――
ずっと座り込んでいたせいか、くらっと立ちくらみがして。
気が付いたら、足元がふらつき、視界がぐらっと傾いていた。
「平尾!?」
部長が叫んで、彼の腕が私に伸びてくる。
あっと思った瞬間、彼の腕の中に飛び込むような形になって。気が付いたら抱きしめられていた。
「――ッ……」
息が止まる。
「あ、ごめんなさい、あの……」
慌てて彼の胸に手をついて、距離と取ろうとしたのだけれど。
なぜか彼の手は強く、私の背中を抱きしめて離さない。