上司と上手につきあう方法【完結】
「お見合い、ですか……」
彼女の気持ちを考えると、胸が苦しくなった。
学生時代から十年も付き合ったなんて、彼女にとっても部長は特別な人だったはずだ。
だけど、三十歳を前に友達はどんどん結婚しはじめて。
それまで疑ったことなんてなくても、突然、彼の気持ちは自分よりも、仕事に向かっているような気がして――
きっと一人で焦ってしまったんだと思う。なんとなく、だけど。
そんなとき、親や親戚からお見合いを勧められたら、揺れるかもしれない。
いっそことを大きくして、彼の気持ちを確かめたくなるかもしれない。
本当はそんなことしないほうがいいに決まってる。
誰かを試す時はまた、自分も試されて仕方ないのだから。
だけど……
私が勝手に彼女の気持ちを代弁するわけにはいかないけれど、そうしたくなる気持ちは、なんとなくわかるような気がした。