上司と上手につきあう方法【完結】
故郷
――――……
終点である「つくば」の二つ前の駅で目を覚ました部長は、窓の外の景色を眺め、少し懐かしそうな顔をした。
だけどそれは『嬉しい』ばかりじゃなくて。
なんていうのかな……。
懐かしいって気持ちは、同時に少し寂しくなるようなそんな切なさも秘めているような気がして。
もしかして彼女とのことを思い出して、切なくなってるのかな、と思うと、私までつられて物悲しい気分になってしまう。
と言っても、部長に「彼女のこと考えないで」なんて言えないし、強制だって出来ないし。
部長の過去と上手に折り合いをつけなければ、私も前には進めないということは、頭ではわかっていた。
「よく眠れました?」
「ああ……」
眼鏡を片手で外し、目頭のあたりを軽く抑える部長はなんだか疲れが増しているようにも見える。