上司と上手につきあう方法【完結】

そよそよとそよぐ風の中、ぽーっと部長の顔を眺めていたら、

ピピピピ……

どこからか電子音がする。



「――ああ、俺だ」



部長はスッと体を起こし、ジャケットの内ポケットから携帯を取りだした。



「はい」



キリッとした表情で電話に出る部長。

仕事関係かな。



「――ええ……はい。着きました。今、ちょうど竹園西公園にいます。彼女と一緒です」



彼女……?


って、あっ!!


耳を澄ますと、携帯の向こうから女性の声がする。

もしかして、お母さん!?


電話でこちらの様子が見えるわけじゃないのに、思わずシャキンと背筋が伸びる。

ドキドキしながら、部長の横顔を見守った。


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