上司と上手につきあう方法【完結】
小さなレストランは、テーブル席が3つと、カウンターがあるだけで、若いカップルと女性同士のグループで埋まっていた。
窓際の二人席のテーブルにつくと、ああ、いいレストランだって、一目でわかった。
大きな窓から、木漏れ日がきらきらと中に入ってきて、よく磨かれた樹の床に木陰が映っている。
みんなおいしそうに料理を口に運び、おしゃべりに興じて、笑い声が朗らかだ。
叔母様の手で、きれいなガラスのボトルから注がれるミネラルウォーターは、きりりと冷えていて、かすかにレモンの味がした。
「叔父さんの料理は絶品だから」
「はい、楽しみです」
ここへ来る途中、カジュアルフレンチのお店だと聞いていたけれど、何を食べても、しっかりとしたフレンチだった。
前菜のホタテのタルタルから始まって、朝摘みだという新鮮な野菜のバーニャカウダ、彩の美しいテリーヌ、鴨フィレ肉のロースト。デザートにはテリーヌショコラ。(部長はショコラの代わりにソルベにしてもらっていた)
グラスワインも豊富で、叔母様の勧めもあって、一杯ずつ頂戴した。