上司と上手につきあう方法【完結】

「ここのパン、塩田さんのところの、パンなんだ」



切れ長の目の縁をうっすらと赤くした部長が、コーヒーを飲みながら微笑む。



「えっ、そうなんですか! おいしかったなぁ……」



メインのソースをぬぐって食べた美味しいパンの味を思い出すと、顔がにやける。


っていうか、もっと飲みたいなぁ。

お料理どれもこれもおいしくて、本当、部長と一緒じゃなかったら、ボトルを開けてる。間違いない。

出来れば夜に、じっくり腰を据えて来たいけど、やっぱり来れないよねぇ……。

一応部長の恋人設定だし……。はぁ、残念。



「――お前、まだ飲みたいって思ってるだろう」



部長の指摘に、ドキーッと心臓が跳ねる。



「えっ!? まっ、まさかー!」

「いや、そういう顔してたぞ。グラスワイン、やたら大事に飲んでたし」

「う……」



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