上司と上手につきあう方法【完結】
「いろいろあって、彼女……美琴にひどく落ち込んだところを見られて……その、てっきり幻滅されるかと思ったら、彼女はそれから折りに触れて、俺のことをずっと気にかけ、励ましてくれました。
最初はそれでも、きまぐれとしか思えませんでしたが、段々、彼女の優しさに甘えている自分に気づきました。だから、彼女を頼りにし続けるわけにはいかないと思ったんです」
部長の言葉を、とても意外そうに耳を傾けている叔母様。
私も不思議な気持ちで、部長の話を聞いていた。
そしていろんなことを思い出していた。
初めて二人で飲みに行って、そして海で告白する前にフラれた夜までの間のこと……。
たとえ今の部長と私の関係が偽りのものだとしても、部長が今口にした言葉は『真実』のような気がした。
「――だから、一人で帰ってこようと思ったんですが……」
そこでまた、部長が私を見つめる。
私をまっすぐに見つめる眼鏡の奥の切れ長の瞳が、熱っぽく輝きを放つ。
見つめられているこっちの胸が、きゅっと締めつけられて、燃えるように熱くなった。