上司と上手につきあう方法【完結】
そして部長は私の手をつかみ引き寄せると、テーブルの真ん中で手のひらを重ね、微笑む。
「彼女と一緒にいたいと、心底思ったんです」
一緒にいたい。
それは優しくて、強くて、胸を打つ、とてもシンプルな言葉った。
部長に『本当に』そう思ってもらえたら、きっと私は世界で一番幸せな女になれるのに。
その瞬間、ぷつん、と私の中の何かが、張りつめていた線が、切れる音がした。
目の前にいる部長の輪郭がみるみるうちににじんでいく。
鼻の奥がツーンと痛くなって、唇がわなわなと震えた。
「――美琴」
よく見えないけれど、部長が私の名前を呼ぶのはわかる。
「ごめん、なさい……」
あーもう。私、なに泣いちゃってるんだろう。
部長といると、涙腺がめちゃくちゃ緩んじゃうんだから……。