上司と上手につきあう方法【完結】

次の言葉を真面目に待つ私。


ぼんやりとしたまま部長を見上げると――



「欲しくなる」



ひそやかに、けれどとてもストレートに告げられて。その瞬間、顔が火をつけられたようにカーッと熱くなった。


そ、そんなことさらっと言わないでー!!!!



「――俺は先に出てるから」



ちょっぴり困ったように、大きな手で口元を覆うようにしてうつむいた部長は、くるりと踵を返しドアノブに手をかけた。



「は、はいっ……」



そして部長がそそくさとトイレを出て行く背中を見つめる。


欲しくなるって……

二度目はないと思っていたけど……

えっと、でも……

え?

もしかして、婚約者ごっこで、ついその気になっちゃったとか?


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