上司と上手につきあう方法【完結】

思わず自分の体をぎゅーっと抱きしめていた。


部長の体もそうだったけど、私の体もめちゃくちゃ熱かった。

ダメだ、ダメだって、何度も自分に言い聞かせて。だけど部長に「欲しい」と言われたら、断れない。そんな自信がない。


もうっ、部長の馬鹿……!


私が勝手に好きなんだけど、部長を恨みたくなる。


バシバシと顔を両手で叩いて、それからメイクを直してトイレを出ると、部長と叔母様、それにコック姿の叔父様が三人で立ち話をしていた。

和やかな雰囲気だけど、部長はちょっと苦笑しているような、そんな感じ。



「美琴」



私に気付いた部長が私を手招きする。

ゆっくりと呼吸を整えて、彼のもとに駆け寄ると同時に、叔父様がニカーッと音が出そうなくらい朗らかに笑った。



< 310 / 361 >

この作品をシェア

pagetop