上司と上手につきあう方法【完結】
思わず自分の体をぎゅーっと抱きしめていた。
部長の体もそうだったけど、私の体もめちゃくちゃ熱かった。
ダメだ、ダメだって、何度も自分に言い聞かせて。だけど部長に「欲しい」と言われたら、断れない。そんな自信がない。
もうっ、部長の馬鹿……!
私が勝手に好きなんだけど、部長を恨みたくなる。
バシバシと顔を両手で叩いて、それからメイクを直してトイレを出ると、部長と叔母様、それにコック姿の叔父様が三人で立ち話をしていた。
和やかな雰囲気だけど、部長はちょっと苦笑しているような、そんな感じ。
「美琴」
私に気付いた部長が私を手招きする。
ゆっくりと呼吸を整えて、彼のもとに駆け寄ると同時に、叔父様がニカーッと音が出そうなくらい朗らかに笑った。