上司と上手につきあう方法【完結】

そっかぁ……そうだったんだ。

と、シミジミしていたら。



「――実の親が、何もしない人だったから」



部長が淡々と、けれどドキッとするような言葉を口にした。



「え?」

「瑤子おばさんは俺を生んだ人の妹だ。両親は俺が幼いころに離婚して、俺はずっと二人の間を行ったり来たりしていたけれど、結局それぞれ再婚して家庭を持ち、行き場を失った。
それから晴信おじさんと瑤子おばさんが、我が子と一緒に、俺のことも我が子同然に育ててくれたんだ」



部長はそう言って、なんだか眩しそうに私を見下ろした後、叔父様と叔母様に深く頭を下げた。



「ずっと、育ててくださってありがとうございました。なのに相談もせずダブルベリーを辞めると決めたことも、申し訳ありませんでした」



一瞬、シンと静まり返るフロア。


< 312 / 361 >

この作品をシェア

pagetop