上司と上手につきあう方法【完結】

部長が軽い感じで相づちを打つ。


きっと私が今から何を言うかなんて、想像すらしてないんだろうな、と思いつつ、私は口を開いた。



「――私、好きです。ササグさんが、好きです」



やっと言えた。

そう思うと、口にした瞬間、たとえ玉砕覚悟でも、何か清々しいものすら感じた。



「あなたは、私が世界で一番、大事にしたいひとです」



それから、私の肩に頭を乗せていた部長の顔を覗き込む。


偽りの恋人を演じて、それでも、部長が幸せでいてくれたらいいなんて、嘘だ。


いや、嘘じゃないけど!

大好きな部長にはいつも笑っていてほしいけど――


このまま彼のことを、綺麗な思い出になんかしたくなかった。



「私のこと、好きになってください! 私、あなたのこと、絶対に幸せにしてみせますから! もちろん、専務の娘さんと築いてきた十年、重いですけど、私、頑張りますから!」


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