上司と上手につきあう方法【完結】
「夕食はコーヒーを飲んでからぼちぼち作ろうか」
「はい」
部長がごはんを作ってくれる……
しかも私の部屋で。
「どうした、色々揃ってるじゃないか」
部長が冷蔵庫や調味料の棚を開けて、感心したように中を覗き込む。
その横顔はとても嬉しそうで、ずっと前にそろえたものだけど、やっぱりやってよかったなんて思ったりして。
「そ、それはですね、いつか部長が」
「――」
「ササグさんが……」
「ん」
「うちに来てくれることがあったら、って思って……あのあと、すぐに買いに行ったんです」
だけど本当に部長がうちに来るなんて…。
思えばあのころから、私はもう部長に惹かれていたんだろう。
なんだかんだと理由をつけていたけれど、ただそれは単純に、好きになりかけていたんだ。