上司と上手につきあう方法【完結】
とりあえず生ものを全部冷蔵庫に仕舞ったのを確認してから、丁寧にコーヒーを淹れ始める部長を見守る私。
「あの……っ」
「ん?」
ケトルを片手の、立ち上る湯気越しに見ても絵になる部長に、一瞬ポーッと見惚れかけたけれど、あわてて気を引き締め、背筋を伸ばす。
「――あの……っ」
と言っても、何をどう聞けばいいのか、頭が真っ白になって思い浮かばない。
「どうした」
様子がおかしいと思ったのか、ケトルを置き、テーブルの前で棒のように突っ立っている私に近づいてくる彼。
「どこか、悪いのか?」
そして大きな手のひらで、ゆっくりと私の髪をすいたあと、頬に手を乗せて、顔を覗き込んできた。