上司と上手につきあう方法【完結】
「好き……? 本当に?」
思わず『嘘でしょう?』と言いたくなるくらい、私は震えていた。
「ああ」
そして部長は、私のまぶたに、唇を寄せる。なぐさめるように。
「お前に好かれてると確信してから、同時に悩んでいた……。俺はお前の優しさに甘えているだけで、また、同じことを繰り返すんじゃないかって……たった一つの愛情に、執着して、依存して、俺のエゴで苦しめて、幸せには出来ないんじゃないかって……」
優しく私の二の腕の柔らかいところを撫でながら、低いささやき声で、肌の上に口づける。
「社員旅行の帰りの日だって、体調が悪いお前をどうこうするつもりはなかった。世話になったんだから、その分お返しをしなければ、と自分に言い聞かせていた。だが、今思えば……俺はお前と一緒にいたかったんだ」
熱っぽく、部長が言葉を続ける。
「彼女と話し合っている間、頭に思い浮かぶのは部屋に待たせているお前のことばかりだった。なのに、帰ってきたらいきなりお守り渡されて、好きだったら諦めちゃ駄目だなんて言われて、それで俺はようやく、お前に自分のことを諦められたくないんだって、わかった」
部長の手が、ゆっくりと、私の背中に周り、ワンピースのジッパーを下ろしていく。
そして楽になった体を、愛おしげに抱きしめる。
「誰の代わりでもない……美琴が欲しい」
――――……