上司と上手につきあう方法【完結】

こうなると、彼にとって、セックスってなんなんだろう、と不思議になってくる。

生きるか死ぬかの乱闘みたいだ。

とにかく私の反応をあますところなく見たいとしか、思えない。



「ササグさん……」

「ん?」



無言で両腕を彼に伸ばすと、ササグさんはどこか困ったように、戸惑った表情を見せ、そして、おそるおそる体を倒し、私を抱きしめる。


彼の案外たくましい肩や、首に腕をまわす。仄かに甘い香りがして、クラクラする……。


ササグさんは、あれだ……食虫花だ。

いい匂いをまき散らして、酔わせた挙句、ぱくっと食べちゃうんだ。



「ササグさんは、よくないの……? まだ、いちども……」

「――俺は、いいんだ……お前さえよければ……それがいいんだ」


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