上司と上手につきあう方法【完結】

せっかく自分の口で言おうと思ってたのに……。


むくれる私を見て、ササグさんが笑う。



「気を使ってくれたんだろう。俺が家でやきもき待ってるのがわかってただろうから」

「しようがないなぁ」



二人でクスクスと笑いあって。停めてある車へ向かう道すがら、ササグさんは私の荷物を持ち、もう一方の手を繋いで歩く。


彼の手は、オフィスで働いていた時よりも、分厚く、力強くなった。

以前のきれいな手も好きだったけど、今のこの手も大好きだ。

彼はこの手で畑を作り、毎朝、私のための食事、それからお昼のお弁当も、夕食だって用意してくれる。


そう。わたしとササグさんは、ササグさんがダブルベリーを辞めて少ししてから、二人でつくばに住むようになった。


ちなみに彼は叔父様のレストランで修業中の身だ。

自分のレストランを持つこと。それが彼の幼いころからの夢だったらしい。


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