上司と上手につきあう方法【完結】

手のひらの下に感じる、ササグさんの熱。しっかりとした体。


風邪ひとつ引かないのは、常日頃気を張っているからだと思う。

それに店休日以外は、朝から晩まで働きづめだから、ちゃんと休んでほしい。


そうだ。温泉にでも行けないかな。

日帰りでも、評判の懐石とか食べられるところだったら、ササグさんの勉強にもなるだろうし……。



「ねえ、ササグさん、今度の休みだけど」

「そろそろ、美琴の実家に行きたい」

「え……?」



ウエストに回した手の甲に、ササグさんの手のひらが重なる。


彼は肩越しにポカンとしている私を振り返って、両腕でしっかりと私の上半身を抱き寄せた。



「まだ来年のことだけど、店を任されるだろ?」

「うん……」



< 347 / 361 >

この作品をシェア

pagetop