上司と上手につきあう方法【完結】
手のひらの下に感じる、ササグさんの熱。しっかりとした体。
風邪ひとつ引かないのは、常日頃気を張っているからだと思う。
それに店休日以外は、朝から晩まで働きづめだから、ちゃんと休んでほしい。
そうだ。温泉にでも行けないかな。
日帰りでも、評判の懐石とか食べられるところだったら、ササグさんの勉強にもなるだろうし……。
「ねえ、ササグさん、今度の休みだけど」
「そろそろ、美琴の実家に行きたい」
「え……?」
ウエストに回した手の甲に、ササグさんの手のひらが重なる。
彼は肩越しにポカンとしている私を振り返って、両腕でしっかりと私の上半身を抱き寄せた。
「まだ来年のことだけど、店を任されるだろ?」
「うん……」