上司と上手につきあう方法【完結】

「ご両親には、一緒に住む前に挨拶に行ったっきりだし……」



ササグさんは私の頬を優しく指の背で撫でながら、微笑む。



「美琴との結婚を報告したい」

「――」



言葉が出なかった。


そりゃ、もっと幸せにするって私から告白した時「もっと幸せにということは、プロポーズか?」なんて言われたけど。

実際は、そう簡単にいくはずもなく(いくらササグさんが素敵な人でも、仕事を辞めたばかりの男性との結婚を許すほど、うちの両親も楽観的じゃない)

そもそもササグさん自身も「一人前になってからじゃないと、美琴のご両親に申し訳ない」と、かたくなだったし。


まぁ、私だってササグさんと一緒にいることが第一目標で、結婚はあくまでも通過点の一つだとしか思ってなかったから、焦っていたわけでもないんだけど。


だけど……



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