上司と上手につきあう方法【完結】
困ったように眉根を寄せながら、私の上にのしかかるようにして、唇を重ねてくる彼。
この一年、少しずつ、抱き合うってことの意味を考え始めている。
まぁ、もちろん、相変わらず私が感じてるかどうかが第一っぽいけど。
それだけじゃなく、私たちは愛しあってるから抱き合うんだって、私もあなたに幸せな気持ちになってもらいたいんだって、ササグさんにわかってもらえるよう、百万回は言葉にして、ササグさんも少しずつ柔らかくなってきている、と思う。
一人よりも二人で。
言葉にすることをもう、ためらったりしない。
その点で私もササグさんも、昔よりは成長したんじゃないだろうか。
キスをかわしながら、彼の着ているシャツのボタンに手をかけようとした瞬間、リビングに音が響く。
どうやら床に置いてあったリモコンを私の体が押してしまったらしい。テレビがついて部屋が一気に騒々しくなった。
もう、せっかくいいところだったのに……。