上司と上手につきあう方法【完結】
元彼
――――……
元彼と別れた後も仲良く友人で……
という話をたまに聞くけれど、私からしたら信じられない。
だって友達付き合いできるくらいなら、恋人のままでいいじゃない。
だから私はいつだって彼氏と別れるときはもう二度と会わない前提で、全力で別れる。傷はうんと深くなっても、治りは遅くなっても。
そうやって私は、過去の彼氏たちを乗り越えて、新しい恋に没頭してきたんだ。
だけどどうしても癒せない、いつまでもかさぶたがひりひりして、痛みが残る男というのが一人だけいて――
「山本朝陽(やまもとあさひ)です。SEしてます。どうぞよろしく」
ペコッと頭を下げるテーブルの向こうの大型わんこ系男子――
彼は色素の薄い瞳で私を目の端でとらえ、ニヤッと笑う。
いや、それに気づいたのはきっと私だけだ。
彼はすぐに人懐っこい笑顔に戻り、周囲に愛想を振りまく。