上司と上手につきあう方法【完結】
「帰るか……」
ため息をついて文書を保存し、パソコンの電源を落とす。
椅子に座ったまま、うーんと伸びをして天井を眺めていると、シンと沈まりかえったオフィスはたまらなくさびしい空間のように思えてくる。
なにやってるんだろう、私……。
六年も前に別れた元彼に会っただけで、こんなにやさぐれモードになるなんて。
今、付き合ってる男の人がいたらこんな風に思わなかったかな。
一人だから、辛いんだろうか……。
きっとそうだ。
恋人がいればきっと、抱きしめてもらえば、この辛さを忘れることが出来たに違いないのに――
そしてふと、自分が誰かに抱きしめられている想像をしたけれど……
相手がいなさすぎて、うまく妄想すら出来ない。不毛な気持ちが胸いっぱいに広がった。