上司と上手につきあう方法【完結】
元カレの気持ち
一人よりも二人
「――平尾?」
「はい……部長」
部長だった。
「今日はノー残業デーだろ」
私が残っていたことが不思議だったのか、そんなことをつぶやく。
「サビ残です。成果はあまり、ありませんけど……」
「そうか……お前にはいつも、つまらないところを見られてばかりだな」
彼はくすりと笑い、それからうっすらと潤んだ眼差しを足元に落としたまま、エレベーターの外に足を踏み出した。
そして棒のように突っ立った私の横を通り過ぎる。
もしかして、泣いていたんだろうか。
いい大人がフラれて――
もしかしてまだ、傷ついているんだろうか。