上司と上手につきあう方法【完結】
――――……
「――ぶちょ、やっぱり、すごい……」
至近距離で私の声を聞いて、永野部長が眉の間の深い谷間をさらに深くする。
「お前が……下手すぎなんだ。こういうことは……日頃の鍛錬が――」
「ああっ……!」
「――ウルサイッ!」
悲鳴を上げる私と、包丁と大根をまな板の上に置く部長。
せっかくいいところまで剥けてたのに……。
「切れちゃいましたね、かつらむき」
指先で二十センチほどで切れてしまったペラペラの大根をつまみあげる。
けれど、途中で切れたとは言え、本当に部長のかつらむきは綺麗で、向こうが余裕で透けて見えた。