上司と上手につきあう方法【完結】

「私じゃこうはいかないなぁ……本当、切れたのが惜しいですねえ」

「平尾が耳元でわーわーうるさいからだろ……わざわざ椅子まで持ってきてみるほどのものか?」

「だって、お母さんみたいだから……すごいなって……」



足元には低いけれど小さな台を持ってきていた。

だって部長背が高いから手元をよく見たかったら、こうするしかないわけで……。


険しい眼差しで見下ろす部長に、しゅんと小さくなる私。


はぁ……まさか会社を出てまで叱責を受けるとは思わなかった。



けれど部長は本気で怒っているわけでもなく、

「……お母さんって」

と、苦笑した後、かつらむきした大根をボウルに張った塩水につける。


さらに冷蔵庫からスモークサーモンとクリームチーズ、ボイルしたエビや、キュウリ、青シソを取りだして、適当なサイズに切ると、塩水でしんなりさせた大根で、くるくると器用に巻き始めた。

そしてそれを生春巻きの要領でお皿の上に切り分け、並べる。



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