上司と上手につきあう方法【完結】
「すごーい、きれーい、お店みたい!」
おまけに、パパッとレモン汁とオリーブオイル、塩コショウでドレッシングらしきものも作ってしまうから、本当、部長の手際の良さにはただ、ただ、見とれてしまうばかりだ。
部長って本当になんでもできる人だった。
(ちょっと泣き虫なところあるけど、それは私の心に秘めて、内緒にしておいてあげよう)
「これを冷蔵庫で冷やしてる間に、パスタを作る」
「はいっ!」
いったいどんなパスタを作るんだろうと、ワクワクしていると、キッチンの下の棚を開けて部長が深いため息をついた。
彼の目線の先には、サバ缶とかイナバのタイカレー、コンビーフ、赤貝やホタテの缶詰などがずらりと並んでいる。
「――本当、お前の家、酒のつまみと缶詰しかないんだな」
「うっ……」
冷めた眼差しで見つめられて、思わず肩をすくめる。