上司と上手につきあう方法【完結】
「――これでなんとか、お前の腹を満たせそうだ」
心底ほっとしたように言われて、さらに肩身が狭くなった。
そりゃ、「おなかすいたからご飯食べさせてください」って言ったけど。
まるで私、欠食男子みたいじゃない。
ここは一応女子の部屋だっていうのに、ひどい言い草だ。
そうやって、イジイジする私をよそに、部長はさらに棚の奥からトマト缶を発見した。
「よしっ」
まるで宝物でも発見したような勢いで彼は喜ぶと、パスタを茹でながら、同時に高級オリーブオイルとトマト缶、そしてこれもまたお土産でもらった鷹の爪で、トマトソースを作っていく。
あっという間に部屋中にいい匂いが広がって、胃のあたりがきゅーっと締めつけられた。
おいしそう……。
これは是が非でもビールできゅーっといきたいところだ。
ビールは冷蔵庫にぎっしり入っているから問題ないけど――
よくよく考えたら、部長の飲むものがない。