片恋
だけど私は、
そういう遼平君を
見たくないというのも本心なら、
遼平君に
完全に私だけ
使い分けられてるのも見たくなくて、
早くあそこから去りたかったのだ。
あれも嫌だけど、これも嫌。
自分勝手な、ワガママだ。
駅を過ぎて歩きながら、
自己嫌悪で腹が立った。
闇雲に歩いて、歩いて、歩いて、
それでも自分が許せなかった。
遼平君に、嫌なこと全部、
押し付けようとしてた。
それが気分的なものであっても。
ちょっと上手くいかなくなると
全部投げ出して、
遼平君にすがって、甘えて、
何とかしてもらおうとしていた。
彼はそうやって誰かに寄りかかられる事に
とても慣れていて、とても疲れている。
その事を、私は知ってたはずなのに。
知ってた、だけで、
一度も自分を振り返ってみなかった。
全然、遼平君の言葉を聞いてなかった。
嫌いだ、こんな自分。
嫌いだ。
悔しくて、腹立たしくて、
涙が止まらなかった。
濡れて腫れぼったくなった頬が、
切るように冷たい空気に沁みた。
冷え込んだ手足の先が、
ジンジンと絶え間なく痛んだ。
だけどもっともっと、
凍えるような風が吹きすさべばいいと思った。
すれ違う人が見てみぬふりで通り過ぎる。
私は我慢し切れなくて、
声に出して泣きじゃくった。
遼平君にぶら下がってるだけの
こんなお荷物、
「彼女らしく」なんて、
なれなくて当然だと思った。