片恋
めちゃくちゃに歩いて、
歩きまくって、
それでも歩き足りなくて、
ぐずぐずと止まらない嗚咽をもてあましながら、
鼻をすすった。
もう道なんかわかんなかったけれど、
それすらどうでもよかった。
信号が変わって仕方なく
ガードレールに手をついて立ち止まる。
ひと気のない交差点で、
車の気配もないのに馬鹿らしいと思いながら、
青になるのを待った。
と、いきなり
ばちんッと後頭部をはたかれた。
「った・・・」
衝撃で下を向いて、頭を押さえる。
完全な不意打ちだったせいか、
視界にうっすら火花まで飛んだ。
振り返るまでもない。
そんなことをするのは、一人しかいない。