片恋



めちゃくちゃに歩いて、

歩きまくって、

それでも歩き足りなくて、


ぐずぐずと止まらない嗚咽をもてあましながら、

鼻をすすった。


もう道なんかわかんなかったけれど、

それすらどうでもよかった。



信号が変わって仕方なく

ガードレールに手をついて立ち止まる。


ひと気のない交差点で、
車の気配もないのに馬鹿らしいと思いながら、

青になるのを待った。



と、いきなり

ばちんッと後頭部をはたかれた。


「った・・・」


衝撃で下を向いて、頭を押さえる。

完全な不意打ちだったせいか、
視界にうっすら火花まで飛んだ。



振り返るまでもない。


そんなことをするのは、一人しかいない。



< 103 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop