片恋
亮介と向かい合ったまま
なんとなく間がもたなくて、
うつむいて痛くもない手首をさする。
そしたら急に思い当たって、
私は下を向いたまま、
くっくっと笑った。
「・・・わかっちゃった。
亮介がなーんで、ここにいるか。」
少し意地悪く口を歪めて、
上目遣いに亮介を見た。
「は・・・!?」
「私に会いに来たんでしょ。」
「や、違うし。」
私はとりすまして、
横目でちらりと視線を送る。
「私に言って欲しい事が
あるんだもんね。」
「いやいや、ねーって!!」
大げさなくらいに慌ててさがる亮介を、
私はからかうように回り込んで逃がさない。
「亮介。」
「・・・っ」
「誕生日おめでとう。」
亮介がぽかんと、口を開ける。
「16歳でしょ?おめでとう。」