片恋
「だいじょうぶだよ。
遼平君、私にはあまいもん。
というわけで。
亮介はおとなしく
おうちで遼平君を待って、
頑張って叱られてください。」
「いや、俺は逃げる。」
あまりにも真面目な顔で亮介が言うので、
それがおかしくて、声に出して笑った。
きっとまた遊びに出ちゃうのかもしれないけど、
まあしょうがないなあと思うことにする。
亮介が、亮介のままならそれでいい。
それから、今度こそ遼平君の方に向き直って、
少し歩いてからオマケのように振り返った。
「じゃあね、亮介。
バイバイ。」
手を振ると、
亮介は黙ったまま小さく手を振り返して、
見送るように、静かにそこにたたずんだ。
私はそれに安心して背中を押されるように、
遼平君の側へと駆け寄った。
「お待たせしました、ごめんね遼平君。」