片恋
「ねえねえ遼平君、昨日のドラマ見た?」

「見てない。」

「そっか、よかったあーー!!」

机の前に戻った琴子は
完全に隣の遼平の方に向き直って座り、

ひっきりなしにしゃべりかける。

「あ、つまんないとかじゃなくてね、
私はいっつも楽しみにして見てるんだけど。」

「うん。もしかして、例題3で止まってる?」

言われて、どれどれ、と他人事のように
琴子もノートをのぞきこむ。

「うん、そのへん。

あ、でも主題歌はすっごくいいの。
今度、最後だけテレビつけてみて!!」

「うん。」

「それでよかったら、その次から見てみて!!」

「うん。


えーー・・・と、ごめん、

何がわかんないんだか、
わかんないんだけど・・・」

遼平がノートから顔を上げて琴子を見ると、
琴子は恥ずかしそうに顔を赤らめ、
小さく呟いた。

「・・・・・・私も・・・。」


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


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