片恋


「うっ、・・・やっぱりだめかあ」

学校が終わってすぐにメールをチェックしたけれど、
次の土曜日という提案は断られてしまった。

他の日は?と聞く勇気が、今はない。


「・・・仕方ない。
寄り道でもして気分を切り替えよっと!」

声に出して、自分を元気づける。


どこか雑貨屋さんとか・・・

そうだ、そろそろクリスマスだ!

どこに行こうかとあれこれ考えながら、
ひとまず駅前に向かって歩き出す。

前に遼平君と平日に会ってた時は、
だいたい水曜日だったなあ。

今日・・・とかむしろ、
空いてたり・・・

でも、どうせ、ダメもとで・・・

思いきって携帯を取り出し、
遼平君にメールをしてみる。

『寄り道して帰ろうと思うんですが、
もし時間があれば、一緒にどうですか?』

届け、っと携帯を数秒間みつめる。


その時、激しい急ブレーキの音が、
全身を貫くように駆け抜けていった。

遠くで、ガチャーンと何かが壊れる音や、
衝撃音が続いて、

一瞬の静寂の後、
緊張が解けたように、
周りの人たちがザワザワとさざめき始める。

「事故だ・・・」

「車とバイクが・・・」

「救急車を・・・」

・・・


結局、救急車が来て去っていくまで、
立ちすくんだまま、そこで動けずにいた。

「・・・そ、そうだ。メールをしてたんだった」

がっちりと握りしめていた携帯に、目を落とす。


送信済みの表示はあったけれど、

遼平君からのメールは、来てなかった。

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