片恋


「あれ?こんな所で何してるの。」

かけられた声に
ハッとして顔を上げたけれど、

誰だかよく、わからなかった。


その人が遼平君じゃなかったことに落胆して、
私は呆然とその人を見返す。

「きみ、遼平の妹でしょ。
なんだっけ。」

「・・・イトコです。」

妹、といわれて
遼平君の友達にこんな人がいたかもしれない、と思い出す。

「そうそう!妹のイト子ちゃん。」

「へ?」

お、惜しい。
近くて遠い。

なんだかおかしくて、つい笑ってしまった。
泣きそうだった分、
その反動なのか、止まらなくなる。

「あははははっ・・・・」

「ん?なんか面白かった?
そりゃよかった。

きみ、さっき一瞬、
すごい必死な目ぇしてたよ。」


「え、」

「捨てられた子犬の目って感じ?
声かけて失敗した!!って思った。」


鉛の塊を、飲み込んだような気持ちがした。

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