片恋
幼い二人が慈しみあう姿は
尊くすらあって、
壊したくないと、思った。
守ってやりたいと。
我ながら、少女趣味だとあきれるけれど。
だからちょっとしたお節介のつもりで、
琴子に形だけの婚約を申し込んだ。
気の早い叔母さんに
何度か見合いをさせられていると、
琴子がちらりと
こぼしていたので。
政略結婚なんて
時代錯誤もいいところだ。
いつか時期を見て
婚約を解消してやればいい。
そう思っていた。