片恋
一人になって、行くあてもなく歩きだしながら、
寂しさのあまり泣きそうだった。
とめどなく後悔が押し寄せる。
謝ろうと携帯を取り出して、
遼平君からメールの返信があったことに気づく。
『今日はごめん』
一瞬、今送られたのかと思ったけれど、
よく見たら30分ほど前の受信だった。
多分、私が席を外していた時だろう。
「・・・遅いよ。」
ふてくされて、本文は開かず削除した。
背中に引力を感じながら、
地面から足を引き剥がすようにして
一歩一歩、前へ踏み出す。
そのままずんずん足を速めながら、
鞄からイヤホンを取り出してはめ直すと、
電源を入れて再生した。
ただ聞こえてくるメロディにだけ、
耳を澄ます。
と、いきなり、
ぐいっとコードを引っ張られて
イヤホンが飛ぶように外れた。
「いたっ・・・」
なんだか覚えのある状況に確信を持って、
「こら~!!」と振り返った私は、
そのまま驚いて目を見開いた。