片恋
「・・・たぶん、
・・・遼平君、は・・・
私のことが、好きじゃ、ないんだと思う・・・」
やっとの思いで吐き出したのは、
弱々しい、情けない声だった。
「どうして?」
やさしく問いかけられて、
ぼろぼろと涙が勝手に滴り落ちる。
だめだなあ、こんなに年下の子に甘えるなんて。
『俺は琴子ちゃんに何かして欲しいとは思わないし、
特に期待したこともない。』
そんな言葉に傷つくのは、
自分勝手だって、わかってる。
それは私が、彼に対して思ってきたこと
そのものなのだから。
遼平君が私に恋をするだとか、
そんなの、想像すらできないけれど、
結婚なんて、家族になるみたいなものだって思うし、
「好き」になんてなってもらえなくても、
ずっと仲良くやっていければ、それでいいなあ、
そんな風に暮らせればいいなあと思っていた。
ちいさな頃みたいに。
思っていたのに。
以前のように隣りで屈託なく笑えないのが悲しかった。
急速に冷めていく空気が、もどかしかった。
どうにかしようと思えば思うほど、
わがままを言って、振り回して、
彼に嫌われるようなことばかりしてしまう。