片恋
2章
「おい、コトコ、コトコ」
名前を呼ばれて辺りを見回すと、
窓辺にかたまった集団の中に
亮介の姿を見つけた。
昼休みの廊下は行き交う生徒が多くて
呼び止められて、注目を浴びる。
学年が違うのに紛れ込んでいるのが
居心地悪くて
さっさと立ち去ろうとしてたのに、
亮介が、来い、来いと
手を振った。
「なに?」
「何してんの?」
仕方なく返事をすると、
亮介はエラそうに
窓辺に寄りかかって、
私が近づいてくるのを
待っている。
「現国の先生、探しに来ただけだけど…」
「ふーん。」
用があるのかと思ったら、
ただ呼び止めてみただけらしい。