片恋
「自立とか言ってるけどさ、
単にあいつのこと信用してないのを誤魔化してるだけじゃん。

ここまで甘えても嫌われたりしないっていう自信が持てない。
余裕がない。
遼平がいなくても平気なように…っていうのはさ、
つまり君、遼平に必要とされてないって自分で認めてるってことだ」

見透かすように瞳をのぞきこまれて、
あっさりと動揺を見破られる。

確信に満ちた視線にとらわれて、足に力が入らない。

真っ青になって言われ放題のまま立ち尽くしていると、
近くで亮介の声がした。

「コトコ！」

思わず手を振り払って、
声がした方へ駆け寄る。

フロアの入り口に、亮介が立っていた。

「あんた、誰？コイツに何の用？」

無遠慮に睨みつける亮介に、
タカハシさんは軽く肩をすくめた。

「俺は琴子ちゃんの友達だよ。
軽い世間話をしてただけ、だよなあ？」

亮介の背後に隠れた私に向かって、
どこか開き直ったように声をかける。

亮介が振り返って私を見たので小さく頷くと、
タカハシさんは、私たちをすり抜けてフロアを出ていった。

「なんだアレ。平気か、コトコ。」

はぁっと息を吐いたけれど、
まだ心臓がドキドキしている。

タカハシさんに言われたことが、
頭の中をぐるぐると回る。

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