片恋
「・・・おい、コトコ!」
呼ばれて、ぼんやりと顔を上げた。
亮介に正面から視線をぶつけられて、一気に焦点が合う。
「何のまれてんだよ、しっかりしろ!」
「そ、・・・そうだよね、大丈夫、うん」
呆然としたまま何とか笑うと、
亮介が小さく舌打ちするのが聞こえた。
「あいつ遼平の知り合いだろ?
遼平に言って、何とかしてもらえ…」
「遼平君には言わないで!」
必死すぎる制止に、亮介が驚く。
「・・・何言ってんだ、お前。」
「あっ・・・、ごめん、うん。
今度会った時に、ちゃんと言…」
「お前、いつから遼平と会ってないんだよ」
静かな口調に思わず亮介の顔を見ると、
亮介は私から目をそらして続けた。
「車が戻ってこない。」
「えっ」
「別に誰も使ってないからいいんだけど。
あいつ、なんか忙しいのか?」
言いながら、さりげなくこちらの様子をうかがう。
「えーと、その・・・しばらく会えないって・・・」
「理由は?」
「・・・それは・・・」
何も言えずに口ごもると、
「はあーーーっ」と亮介が急に大声を上げた。
「お前なあっ、遼平の言いなりになってっと、
遼平は離れてくいっぽうだぞ!
あいつに近づきたきゃ、とにかく逆らえ!
ほら、行くぞ!」
「えっ、どこに!?」
「俺が知るか!探すんだよ!」