片恋
「ウソだろ!?妬いてんのか、俺に。まじか!」
否定も肯定もしづらいので、
曖昧に頷いて反応を眺める。
「はーー、遼平がねえー。俺なんかとっくに玉砕してんのになあ?」
「はい!?」
「あー、本気にすんなよ、ガキの頃な。
他にいなかったんだからしょうがねえだろ。」
聞きとがめた私を軽く流しながら、
そんなことより、遼平君のことが嬉しくて仕方ないらしい。
意外と人間味あんじゃん、あいつ。と呟きながら、
見るからに頬が緩んでいる。
「お前は俺の事なんか、眼中にないもんな。」
「・・・そうでもないよ。」
遼平君に言われてから、亮介のことを真剣に考えた、というと、
亮介が目を丸くする。
「おっまえ、いくら遼平に言われたからって、
何でもかんでも信じすぎだろ・・・っ」
「そ、そういうわけでは・・・」
「・・・まー、仕方ねえか。
コトコにとっちゃ、遼平は絶対だもんな。」
言われて、
「絶対」なんて調子に乗って連発してた
以前の自分を思い出して、恥ずかしくなる。
「信じれてないよぅ」
「ばか。お前が信じられないって言ってんのは、
遼平の気持ちとかそういうことだろ。
そんなのは遼平にどうにかしてもらえ、ばーか。」
二回も馬鹿って言われた。。
「そうじゃなくて俺が言ってんのは、…」
立ち止まった私に気づいて、亮介が口をつぐむ。
遼平君の部屋の前だ。
ポストから鍵を取り出すと、
亮介がまた、信じられないという顔をする。
うん、まあ、そうだよね・・・。
私がドアを開けると、
亮介は頭を突っ込んで、部屋の中を見回した。