片恋



さっきの、

もう一度言ってくれたりしないかなあ

とか

そんな事を思いながら
遼平君を見上げて歩く。             


・・・背、高いなあ。

長い脚で、すいすい進む。
無駄のない動きはとても綺麗で、

すれ違う人は絶対、目がいく。



遼平君の隣に並べず、
少し後ろをついてく私は、どうせ、
そんな人達の視界に入らない。

・・・。

・・・て。を、つなげたら。


デートだし、いいよね?
・・・いいんだよね?


私はそーっと手を伸ばし・・・ては、

目が合うと慌てて引っ込めて
「何でもない」とかぶりを振り、

遼平君が信号を見てる隙に、
なんとかシャツの袖の端っこを
つかもうとして、・・・


「青だよ、琴子ちゃん」


おもいっきり、カラ振りした。


不意に信号に向けて上げられた
遼平君の手を追いかけて

私の手はどこまでも空を切り、


はずみで私は、

つんのめった。


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